痛風に対するMLDの鎮痛効果

症例2
研究協力者:男性 独身 年齢48歳
症例研究実施者/リンパドレナージ施術者:ギル佳津江

研究施術開始2012年9月6日 研究施術終了9月22日 全5回
研究協力者の主訴
痛風の発作による右足膝関節の腫れと痛み、右アキレス腱、右第五足指MP関節付近と、同じくMT関節付近の痛み。膝裏のツッパリ感、歩行時の痛み、左膝関節の可動域の制限。
痛みと腫れのため、階段の昇降が辛く、ひどいときには、踵をつけて歩くのが痛く、平地の歩行も困難になるため、仕事にも差し支える。激痛のために夜眠ることが出来ないこともある。

~痛風とは~
尿酸の代謝障害に基づく高尿酸血症で、原発性の詳細な発症機序はいまだに不明であるが、家系内に高率に痛風患者を有することと、成人男性に圧倒的に多いことなどから、遺伝素養が大きく関係しているものと思われる。痛風性関節炎は尿酸塩が関節内に沈着し、急性の結晶起因性滑膜炎を繰り返す疾患である。高尿酸血症はプリン体の生合成の亢進、あるいは腎からの尿酸排泄低下により起こる(南山堂 医学事典より抜粋)

研究協力者のプロフィール
体重71kg 身長170.5センチ BMI24.5
職業:環境コンサルタント。事務仕事12h/日 山林などでの歩行 10~12h/週
運動:軽いラジオ体操を少し。
食事:偏っていると自覚している
飲酒:通常飲酒は付き合いで飲むが、痛風の発作が出たときは控えている
喫煙:一日40本 
睡眠:睡眠不足。夜更かしが多い(4~5h)
排便:1日1回
排尿:1日2~3回、発作のときは1日1~2回、ウラリットを服用すると4~5回
家族の病歴:母の弟が痛風、妹がリウマチをわずらっている。

過去の経過:
28歳で最初の発作があって以降、33才頃まで年1回程度の発作で推移、44才頃から年に1~2回の発作が続いている。今年に入って、小さいものも入れれば倍増している。足首(かかと、くるぶし)がもっとも多く(6回)、ついで中足骨(足背)、膝(2回)。一回発作が起きた場合にもっとも痛みや炎症がひどいのが右膝で、激痛のときは痛みがソケイ部から下腹部付近(特に右側)まで広がる。これまでに3つの医療機関で診断や治療を受けており、発作時に必ずしも尿酸値が高くないこともあり、偽痛風の所見もあったが、最終の診断はO市民病院の痛風専門医による痛風となっている。尿酸値は高いときで9、最高10.4となっている。6.5以下に抑えることを目標とし、6以下で服用を中止できるとの事。

施術開始前の病状と治療内容
• 2012年7月1日に左足背に中程度の発作が合った。
• 7月14日から右足の足背に予兆(ツッパリ感)があり、二日後の16日に発作が発現した。
• 7月15日より、尿アルカリ化剤、ウラリット、ロキソニン錠60mgを使用した。
• 17日に受診、血液検査を行った。
– 尿酸値 9.4 (高い)
– CRP定量 4.51(高値)CRP定性 強陽性

• 痛みは薬によって一度は和らいだが、22日から再び悪化、くるぶしやアキレス腱の辺りまでかなり腫れ上がった。

試験的施術 
7月30日 80分  施術時間:首15分、脚前面65分

• MLDで症状の緩和があるかどうかを確認するため、80分の施術を行った。首を行った後、右脚を重点的に行う。直後から痛みが快癒し、腫れや痛みは以後5日間良好に経過。
• 6日目から右足踝辺りにわずかな痛みを感じるようになるが、腫れは見られない。そのまま8月12日まで状況の変化はなく、痛み止めを一日一回服用する。

上記のように、直後から疼痛の緩和があり、腫脹も引いたため、MLDが有用であることが確認できた。Dさんの尿酸値は高く、腎機能が若干低下していることを示す血液検査の結果が出ているが、血糖値やコレステロール、肝機能などは正常値。特にMLDが禁忌となるような疾患もないため、医師の了解のもと、研究対象者として協力していただくこととなった。

1~3回目、および5回目の詳細はこの紙面では割愛した。
(1回目 9月6日、2回目 9月8日、3回目 9月12日、5回目 9月22日)

4回目 9月17日 10:15~11:50 85分 
施術時間:首10分、足前面45分、足背面35分

<前回からの経過>
前回12日の施術直後から排尿が頻繁にあり、一時間半から2時間ごとにトイレに行く。夜はうそのように足の痛みが楽になり、湿布も張らずに眠ることが出来た。翌日の昼から再び痛みと腫れが出た。13日に腫れがピークになったあと、痛みが和らぎ始める。14日に今度は左足の足背が同様に痛くなり、ペンギンのような歩き方しか出来なくなった。この日、ロキソニンを朝と夜に一回ずつ服用した。15日午後2時から5時まで昼寝をしたら痛みが和らぎ、腫れが引いた。夜も痛くならずに眠れた。
16日朝に症状が和らいでいたので、昼は作業、夜は夜中の3時半まで仕事をしたら、右膝が痛くなってきた。湿布は施術直前までしていた。

<今回の施術後の経過>
施術直前にトイレに行っていたが、施術後にすぐに排尿があり、そのまま仕事に行く。夜の9時に帰宅したときまでは痛みは楽になっていたが、翌日の昼から右ひざが再び腫れだした。
     

まとめ
1:痛みの大幅な緩和と腫れの減少
痛みについては、施術直後から大幅に緩和
ロキソニン含有の湿布薬との併用が熱もとれ、効果が高かったと感じる。
施術研究開始前に行った痛風治療薬の投与は逆効果であった

2:効果は概ね5日程度
痛みについては、5日後を境に効果が減少。なお、施術の日の鎮痛薬の服用は効果検証のため差し控えていた。腫れの軽減については一様ではない。最低で2日程度、最高で6日程度の効果があった。

3:排尿回数の顕著な改善
• 施術直後より頻繁に尿意を催し、1日平均で6~7回程度の排尿があった。ちなみに施術を受けない状態での発作中の排尿回数は、1日2~3回程度に止まっていた。
基本的に排尿が促進されると症状自体が緩和し軽快する

4:発作のトリガーは蓄積疲労?
• 病症発現の根本要因は体質
発症のトリガーリスクとして、睡眠不足・ストレス・飲酒・喫煙・アンバランスな食事などが考えられる。特に、睡眠不足との相関性が強いと感じた。

5:発作の収束は、最後の施術から10日後

尿酸の代謝障害という原因そのものは遺伝的要素が考えられるため、根治は難しいが、MLDによって痛みや炎症が大幅に緩和できた。理想的には2週間に1回のペースで定期的な施術を受けることで、尿酸結晶の蓄積を予防することができるのではないかと考えられる。特に、施術直後に炎症が緩和されていることが確認できたのは、マッサージという範疇で考えると、通常ありえない反応であるが、MLDの手技の特殊性が炎症の緩和をもたらした。

施術直前の右足首
施術前

施術直後の右足首…腫脹と発赤が減少している
施術後2-5

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